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Sam's

読書記録、ギフテッド/2EやACに関して。

広汎性発達障害について

自閉症スペクトラム 広汎性発達障害 心理学 知能検査 ギフテッド/2E

 広汎性発達障害

自閉症スペクトラム

アスペルガー症候群(ASD)及び、自閉症を含む新たな診断名です。

"スペクトラム"とは連続体という意味を持ち、

健常者(定型発達者)と発達障害者が、決して異なる存在ではなく、

色の濃淡のように、同一線上に位置していることを表しています。

 

高機能って?

自閉症スペクトラムの前に"高機能"とついている場合があります。

これは、知的障害が見られない自閉症患者のことで、その基準はIQ70となっています。

なので、自閉症スペクトラムかつ、IQが70以上の場合、高機能自閉症スペクトラムが診断名となります。

IQ70未満の場合は、何もつけずに自閉症スペクトラムという診断名です。

 

アスペルガー症候群自閉症(自閉症スペクトラム)は違うの?

DSMー5という診断基準の改定によって、

アスペルガー症候群ASD)と呼ばれていた診断名は削除され、自閉症とともに、自閉症スペクトラムという診断名に変更(移行)、統一されました。

過去にASDとの診断を受けている場合も、現在は高機能自閉症スペクトラムと名乗るのが良いと思われます。

アスペルガー症候群ASD)と自閉症の違いは研究調査によって、知的障害の有無以外の差が認められないことが明らかにされています。

従来、ASDとは高機能の自閉症であり、自閉症はそれ単独のものでしたが、前述の研究結果も受けて、自閉症スペクトラムという診断名に統一されたと考えられます。

 

その他の広汎性発達障害(PDD-NOR)

原因不詳ながらも、自閉症スペクトラムを始めとする発達障害と同じ症状が見られるものに対して使用されます。

判断基準

広汎性発達障害に関して、アメリカにおいてはDSM-5の基準が適用されており、その基本的基準は以下の2つとなっています。

社会性障害

言語障害を始めとするコミュニケーション障害や、社会におけるルールの理解に不備があるなどといった特徴を指す。

反復常同(強いこだわり)

決まった時間に決まった行動をしないとならなかったり、物の位置が移動していることによって強い混乱が引き起こされるなどの特徴。

感覚過敏/鈍麻といった性質がDSM-5によって新規に追加されている。

 

判断基準以下については、近日追記します。

「たった、それだけ」宮下奈都

小説 読書記録

 あらすじ

「逃げ切って。」贈賄の罪が発覚する前に、望月正之を浮気相手の女性社員が逃がす。告発するのは自分だというのに–––。

正幸が失踪して、残された妻、ひとり娘、姉にたちまち試練の奔流が押し寄せる。正幸はどういう人間だったのか。

私は何ができたか・・・。

それぞれの視点で語られる彼女たちのない生徒一歩前に踏み出そうとする“変化”。

本屋大賞受賞作家が、人の心が織りなす人生の機微や不確かさを、精緻にすくいあげる。

正幸のその後と共に、予想外の展開が待つ連作形式の感動作。

本書裏表紙より引用。 

読後の感想

あらすじで語られている"変化"は、とても些細なきっかけによって齎される。

タイトルの通り、読者から見ても、恐らくは登場人物から見ても「たった、それだけ」のことで。

正幸が失踪するきっかけとなったのは「逃げ切って。」という一言、女性社員が正幸に投げかけた理由は過去に出来なかった「たった、それだけ」を思い返したから。

失踪した夫の妻は些細なことを守り続け、娘が母に抱いていた感情は、ある鳥な話を聞くことで変わっていった。

教師が初志を思い出すのも、介護施設で働く若者が人生を切り開いたのも、本当に些細な出来事。

それは、当人にとっては目の醒めるようなパラダイム・シフト。

 

人の生き方も思想も"たった、それだけ"のことで変化することを改めて確認。

もちろん、正幸とその家族のように変化が齎すものが良いとは限らない。

それでも、ほんの少しの出来事で、

変化し続けることが可能だということを再認識することの出来る一冊。

 

たった、それだけ (双葉文庫)

たった、それだけ (双葉文庫)

 

 

読書リスト<2017.03.01->

ギフテッド/2E コミック 一般書 学術書 小説 心理学 絵本 読書記録 趣味

3月始まりの新たな読書リスト。

区切りとして多少の違和感があるので、4月始まりに変更するか再考します。

リンクから当ブログのレビュー記事へ遷移が可能です。

学術・一般

自閉症と感覚過敏」熊谷高幸,新曜社

アスペルガー症候群(高機能自閉症スペクトラム)の子どもたち」飯田順三編著,太田豊作,山室和彦著,合同出版

「ウタ・フリスの自閉症入門」ウタ・フリス著,神尾陽子監訳,花園力訳,中央法規

「ひといちばい敏感な子」エレイン・N・アーロン著,明橋大二訳,1万年堂出版

「比較教育学研究 第45号 特集:各国の才能教育事情」日本比較教育学紀要編集員会

「ふたごと教育」東京大学教育学部附属中等教育学校編,東京大学出版会

ADHDタイプの大人の為の時間管理ワークブック」中島美鈴,稲田尚子著,星和書店

WEB関連

「改訂新版JavaScript本格入門 モダンスタイルによる基礎から現場での応用まで」山田洋寛

「Webディレクションの新標準ルール」栄前田勝太郎,岸正也,滝川洋平,タナカミノル著,MDNコーポレーション

小説

「ひとごろしのうた」松浦千恵美,ハヤカワ文庫

「たった、それだけ」宮下奈都,双葉文庫

コミック(kindle)

「ガブリールドロップアウト」うかみ,電撃コミックNEXT

「プロチチ」逢坂みえこ,イブニングコミックス

「死役所」あずみきし,バンチコミックス

「兄の嫁と暮らしています。」くずしろ,ヤングガンガンコミックス

 

「フェリックスの手紙」アネッテ・ランゲン著,ドロープ・コンスタンツァ絵

読書記録 絵本 趣味

はじめに

私が小学校の頃に良く読んでいた絵本の話を少しだけ書こうと思います。

それを思いたった切欠が2つほどありまして、一つ目は下書きばかりが溜まっていく*1現状を改善しようというちょっとした足掻きですが、2つ目は真っ当な理由です。

ちゃんとオチもつきます。

 

2つ目の理由

先日、近場の古本市に出かけたところ、偶然にも冒頭に触れた絵本の続編を手に入れることが出来ました。以前、同じシリーズを読んでから15年は経っていたと思われる中での出会いでしたので、価格もお手頃だったこともあり、購入に踏み切りました。

どのような絵本かというと、少女とウサギにまつわるお話です。

 

あらすじの紹介

小学校に通う少女は、周囲の子供達と少し馴染めずにいて、ちょっとしたことで軽い言い争いが起きてしまいます。そのことを、いつもお気に入りの茶色いウサギのぬいぐるみに向かって話すのです。名前はフェリックスと言います。

 

一見すると、ただのぬいぐるみですが、彼はぬいぐるみにしては珍しく、行動力がある方だったので、少女の眠っている間に様々な場所へと冒険に出かけます。

 

北極や、アフリカ、中南米、大都会のニューヨーク、カンガルーのいるオーストラリアにだって、自分の足で出かけて行きます。

道中で見た景色、人々との交流や驚いたことなど、旅の先々から少女に向けて、フェリックスは手紙を送ります。

少女は、もちろんフェリックスがいなくて寂しさを感じていますが、彼から届く手紙を今か今かと楽しみに待ちながら、ぬいぐるみのいない日々を過ごします。

 

それは彼女だけではなく、読者である私も同じです。

そして、彼の手紙は、絵本を通して、私たちの元へも届くのです。

 

フェリックスは何を見て、何を聞いて、何を感じたのでしょうか。

手紙を開くその時まで、彼女にも、私にもわかりません。

 

物語が終わりに向かうにつれて、

少女の元に無事に戻ってくることが出来るのかは勿論ですが、

毎回変わった方法で帰ろうとする不思議なぬいぐるみが、

今度はどうやって戻ってくるだろう、

そういったことを考えることも読み続けていくうちに、

一つの楽しみになっていきます。

 

彼の手紙によって、少女が少しずつ周囲に馴染む様子も心を穏やかにしてくれます。

 

絵本のタイトルは『フェリックスの手紙』と言います。

興味があれば、読んでみてくださいな。

 

肝要なところ

さて肝心のオチですが、

古本という性質上、帯がなかったり、少し破れていたり欠けていたり、汚れていたり、そういったことも珍しくありません。

この本の特徴は、フェリックスの「手紙」にあるのですが、本に付いているはずの「手紙」が全て欠けていたのです。

 

イチゴのないショートケーキを食べた様な、満たされなさを味わってしまいました。

ちょっとしたトリップに陥っていたので、確認を怠ったのが敗着ですね。

 

たとえ、懐かしい本に出会えた興奮の最中にいても、

次回は中身を確認することを忘れずにいようと思います。

 

フェリックスの手紙―小さなウサギの世界旅行

フェリックスの手紙―小さなウサギの世界旅行

 

  ***2017/02 統一性を保たせる為、ブログタイトルを変更しました。

*1:現在、公開分と同数の下書き記事がストックされています。

ギフテッド/2E(広汎性発達障害を含む)グループの設立

心理学 ギフテッド/2E

 

ギフテッド/2E(twice exceptional children)

はてなサービスにおけるグループ機能を用いて、ギフテッド/2Eに関するグループを作成しました。

冒頭のリンク先にて参加者*1及び概要を確認することが可能です。

 

1.ギフテッド/2Eに関連する各種情報の共有

 →概念、支援団体、各国の制度的対応状況、国内の取り組みetc...

2.国内のギフテッド関連制度の充実を目指した意見交換

 →実践的行動として議論及び発信

これらの2点を現在の目的としています。

 

硬く書いていますが、要するに

"ギフテッド/2Eの成長を手助けし、個性的発達を促進していこう!"

ということです。

 

特別な活動も行う予定はありませんので、関連記事を書いている方に参加していただけると助かります。

 

当然のことながら、当事者ではない方々*2の参加も歓迎しています。

 

よろしくお願いします。

*1:2017/02/25現在、私1人です。

*2:私自身、当事者であるかどうかは不明です。

「ギフテッド 天才の育て方」杉山登志郎、岡 南、小倉正義

 

ギフテッドとは? 

杉山登志郎はギフテッドについて次にように述べている。

「与えられた天賦の凸凹(でこぼこ)」という意味を込めて、ここではギフテッド(天才)ということばを用いたい。本書p.15より引用

凸凹は各々が併せ持っている発達の優れた/劣った箇所を表しており、ダーウィンなどの著名な人物の持つ発達障害ならではの特性を紹介している。

また、非定形型自閉症を持ちながらも名門建築学校を卒業したA君を筆頭に、それぞれに抱える認知的特性を活かそうとする6人をその実例として挙げている。

認知的特性

私が特に惹かれたのは、認知特性に関しての項目である。筆者は岡 南(おか みなみ)氏。

三章から六章までの四章にも渡って詳細に記述がされ、その章題は以下の通り。

第三章 視覚優位型の世界

第四章 視覚優位型の子供達への特別支援教育

第五章 聴覚優位型の見え方の障害を支援する

第六章 視覚認知から見た文字の認知をめぐって

 本書 p.4 目次より引用 

 
視覚優位型

視覚優位型は「同時処理*1」に優れており、数学や幾何学に向いているらしい。

教育指導の方策*2としては、以下の5項目が挙げられている。

・本質を含む課題から始める

・全体から細部へ至ること

・関連性を重視すること

・視覚的、運動的手がかりを用いた課題解決を図ること

・空間的な手がかりや統合的な手法によって問題解決を図ること

 

「進化論」でお馴染みのチャールズ・ダーウィンも視覚優位者であった。

彼らは、文字を読むよりは図式によって理解することの方が容易く、より本質に近づくことが出来る。映像的思考を用いる。

また、映像的長期記憶に優れており、場面を覚えることが得意である。しかし、一長一短の能力であることが、本書で次のように言及されている。

ダーウィンは自分の鮮明な記憶を退けることができないとも書いている。

この視覚記憶が消えないことは、よいことの記憶であるならば問題はないが、悲しくつらい記憶において、彼をひどく苦しめたようである。

本書 P.48より引用

視覚優位者の苦手分野として短期記憶や、聴覚を主とした情報の選択が挙げられる。

前者についてはダーウィン自身の記述が残っている。

「私の記憶力は、ある意味では非常に貧しく、一つの日付けや、一行の詩さえも、数日以上覚えていられたことがなかった。」

ダーウィン自伝」筑摩書房,1972,P.172より引用

 

聴覚優位型

聴覚優位者は「継次処理*3」に優れている。

 教育方針としては以下のように挙げられている。

・段階的な考え方

・部分から全体へ

・順序性の重視

・感覚的、言語的手がかりを用いて課題解決を図る指導

・時間的手がかり、分析的手法を用いて課題解決を図る指導

聴覚情報、また文字や線といった平面的事象を記憶することに長けている。

 

一方で、聴覚優位者は、相貌失認を始めとした障害に陥ることがあり、その一因は明暗に対する感度が低いことで、遠近感の消失してしまうことにあるようだ。

遠近は影を始めとした明暗によって支えられており、明暗を感じられない彼らは、事物がそれぞれ独立して見える。本書に、遠近の有無による視界の変化を比較した図が載っているので是非確認してほしいが、遠近を普段感じられている人々にとって、この図は驚きをもって迎えられるだろう。実際、私は新たな視点を得ることが出来た。

このことは、ドナ・ウィリアムズという自閉症の女性を実例として、より詳細な記述が加えられている。

 

あとがき

自身が気にしていたギフテッド、特に視覚優位型に関しての情報が多く、理解の助けとなった。今回、2Eについて書かれた項目について触れてはいないが、そちらについても多くの分量が割かれている。

また、アメリカのギフテッド教育を取り巻く150年ほどの変化についても触れられており、どのように現在の教育制度が成立したのかを確認することが出来る。

日本のギフテッド教育を考える上で重要な提言も数多く記載されていて、ギフテッドを取り巻く特殊教育の基本を抑えるにふさわしい書籍であると言える。

*1:

処理方法を限定せず、自由に探索しながら処理する能力で、一度に多くの情報を空間的、全体的に統合し処理する方法である。

本書P.64より引用

*2:

視覚優位、聴覚優位ともに「調書活用型指導で子供が変わる」P.29 引用部分に、変更を加えた。

*3:

処理の方法が決められている状況で処理する能力で、情報を一つずつ時間的な順序に従って、連続的に処理していく方法である。

本書P.64より引用

ギフテッドについて

ギフテッドの持つ性質に関して。

尚、芸術的才能を持つ人はタレンテッド(talented)と呼称される。

ギフテッドとは

日本国内では、一般的に天才児と訳出される。

杉山登志郎は「与えられた天賦の凸凹」と意味付けている。

その存在率は人種・文化レベルに依らず、人口の5%程度とされており、40人のクラスであれば1~2人のギフテッド児が同じ教室内に存在することとなる。

 

判断基準

殆どの場合、ギフテッドの判断にはIQが用いられている。

その際の基準となるのは全検査IQが2標準偏差以上であることのようだ*1

標準偏差*2が15であれば、それを2倍し、標準値を加えたIQ130*3))

 

以上が対象となり、標準偏差が24であればIQ148以上が対象となる。

しかし、基準以上のIQを持つ人々が皆、ギフテッドに当てはまるという訳ではない。

ギフテッドかどうかの判断は家族や教師から(時には本人からも)聞き取り調査、また、2E*4の性質を持つかということによっても測られる。

 

ギフテッドとタレンテッド

ギフテッドに対して、著しい芸術的な才能を持つ人々をタレンテッドと呼ぶ。

彼らは、ギフテッドを対象とした基準には適合しないものの、幼い頃から芸術的才能を発揮する。このことは、「才能を発達させる子どもたち」エレン・ウィナー著に詳しい。

 

ギフテッドの特徴

シルバーマンによって挙げられたギフテッドの特徴は以下の通り。

・高い知的好奇心

・ことばや観念に魅了される傾向

・完全さや正確さを求める傾向

・妥協しない傾向

・知的刺激の希求

・内省的傾向

また、多くの研究によれば、"高い創造性"がギフテッドの中核と見做されている*5。その特徴として以下の4つが挙げられている。

・多くのアイディアを短時間に得る能力

・新しい言葉や概念を生み出す能力

・異なった領域のものを結びつけて新しい発想を得る能力

・アイディアを緻密に検討する能力

 


かなりの分量が見込まれるので、一旦区切ります。

 

*1:近年では、視覚型、聴覚型といった認知特性による選別も為されている模様。

*2:Standard Deviation、略称はSD。WAISで用いられている標準偏差は15である。

*3:ちなみに標準偏差値2以上の出現率は2.48%であるとのこと。((別冊:知能指数(標準偏差15,16,24換算表)と出現率をエクセルでまとめてみた。 : チャーリーのブログ

*4:twice exceptional children = 二重に例外的な子どもの略称。近年のアメリカにおいては広汎性発達障害、ADHDも含まれる。

*5:「ギフテッド 天才の育て方」杉山登志郎